電着フロッキープリントは、静電気の力で生地表面に細かな繊維を垂直に植え付け、ベルベットのような柔らかな質感と立体感を生み出す伝統的な加工技法です。

布地にバインダーと呼ばれる接着用インクで図柄をプリントし、そこへ 0.5~2mm ほどのレーヨンやポリエステル、ナイロン繊維を静電気で吸着させることで、密度の高いフロッキー面が形成されます。

1950 年代から広まった手法ですが、1970 年頃にシート状のフロッキーが普及し、手軽に圧着できる方法が主流となりました。しかし、電着フロッキーは、シートでは再現できない厚みや密度の調整が可能で、職人の肌感覚による微妙な表情づくりが魅力です。現在、この電着方式を行う工場は国内でも数件と希少で、柔らかな手触りと深い色調、奥行きのある質感を求めるアイテムに重宝される技術です。

《 FLOCKY STENCIL STEP BY STEP 》










今回は濃い色(生地)に薄い色のフロッキー加工。
接着剤に白色のインクを混ぜて下地が隠蔽できるように調合。
プリント直前に、架橋剤と呼ばれる、樹脂を硬化させる材料を混ぜ込みます。
プリントにはスキージ(コマ)と呼ばれるゴム付きの道具を使用し、プリントの層が均一で、尚且つフロッキーのパイルと呼ばれる毛が刺さるような厚みを持たせることを意識します。
短く切られた繊維に約 40,000 ボルト程度の高電圧をかけて、電子がグラウンド(地面)(アース)(マイナス極)に向かおうとする力(静電誘導)を利用して、硬化前の樹脂層に繊維を立てた状態で植毛していきます。一定以上の時間をかけて、繰り返し植毛されることで、密度が上がっていきます。

電着フロッキープリント職人 山田哲平
1930年に京都で創業した電着フロッキープリント工房の3代目。
創業から約100年に及ぶ伝統技術を伝承し、厚みや質感を巧みに操る熟練の技で、国内でも数件しか対応できない希少な電着フロッキープリントを手がけています。
伝統と独自の感性を融合し、唯一無二の風合いを創り出す職人です。